
単純ヘルペスウィルス脳炎
単純ヘルペスウィルス脳炎
単純ヘルペスウィルス脳炎は、口唇ヘルペスを引き起こす単純ヘルペスウィルスが脳まで入り込んでしまい、神経に炎症を起こす病気です。小児の脳炎ではインフルエンザ脳症よりも発症頻度が高く、重い神経性の症状や後遺症が残る場合もある危険な病気ともいえます。
【症状】
症状は発熱が多く、神経性の症状としてけいれんや意識障害、異常行動、構音障害などがあります。再発することもあるので、一度発症したからといって油断できません。
【予防】
単純ヘルペスウィルス脳炎にならないためには、口唇ヘルペスなど皮膚にできるヘルペスを予防しなければいけません。ヘルペスは疲れていたり、ストレスが溜まっていたり、病中病後に免疫力が低下していると発症しやすくなります。規則正しい生活を行い、十分な睡眠時間を確保してあげましょう。
【潜伏期間】
ヘルペスウィルスの潜伏期間は1週間という説もありますが、詳しいことはまだ分かっていません。
【感染しやすい時期】
季節を問わず発症する病気です。新生児単純ヘルペスウィルス脳炎は生後3週間以内に起こることが多いといわれています。小児単純ヘルペスウィルス脳炎は6歳未満に多いですが、年齢を問わず発症します。
【治療方法】
まずは、抗けいれん薬を使ってけいれんを止める処置が行われます。呼吸が安定しない場合は人工呼吸器を使用する場合もあります。
検査結果が出るまでは時間がかかるのですが、それまでに治療を待っていると危険なので、この病気が疑われる場合はアシクロビルという抗ヘルペス薬を使います。単純ヘルペスウィルス脳炎は、できるだけ早くアシクロビルを大量投与することで致死率や後遺症発症率を大幅に改善することができます。
伝染性短核球症
伝染性短核球症は、キス病ともいわれる病気です。ヘルペスウィルスの一種でもあるEBウィルスやサイトメガロウィルスが、キスを通して感染します。8割の子どもが3歳までに感染し抗体を持っているというデータもあります。
【症状】
乳幼児期は症状が現れず自然と治るケースも多いようです。
児童期以降の子どもは38度以上の発熱が1~2週間ほど続きます。その他に、扁桃炎や咽頭炎、リンパ節の腫れ、まぶたの腫れ、イチゴ舌などの症状が現れます。発熱後2週間ほど経ったころ、肝機能障害を起こすこともあり、食欲が低下します。
【予防】
キスをするときは口を避ける、食べ物を食べさせるときに同じ箸を使わない、飲み残しを飲ませないなどといった配慮が必要です。
【潜伏期間】
潜伏期間は4~14日とされています。
【感染しやすい時期】
季節によって感染確率の差はありません。乳幼児期に市販の離乳食ばかりを食べさせていることが原因なのではないかともいわれています。
【治療方法】
自然に治る確率の高い病気ですので、一般的には対症療法が行なわれます。重症の場合は抗ウィルス薬を使って使用する場合もあります。